【安心】暗号資産取引を始める前に理解しておきたい基本用語
暗号資産取引の第一歩:知っておきたい基本用語を理解する
暗号資産取引に興味を持たれたものの、「専門用語が多くて難しそう」「何を言っているのか分からない」といった不安を感じている方は少なくありません。新しい分野に足を踏み入れる際、 unfamiliar な言葉はそれだけでハードルになり得ます。
しかし、暗号資産取引を安全に、そして安心感を持って進めるためには、いくつかの基本的な用語を理解しておくことが非常に大切です。これらの用語は、リスクを正しく把握したり、安全な取引方法を選んだりするための土台となります。
この記事では、暗号資産取引を始めるにあたって、初心者が最低限知っておくべき主要な基本用語を厳選し、それぞれを分かりやすく解説いたします。これらの用語の意味を理解することで、取引への不安が軽減され、より安全に取引を開始するための準備が整うでしょう。
暗号資産の基本的な仕組みに関する用語
まずは、暗号資産そのものや、その技術的な基盤に関わる基本的な用語を理解しましょう。
暗号資産(仮想通貨)
「暗号資産」とは、インターネットを通じて取引される、特定の国家による裏付けを持たない資産のことです。電子データとして存在し、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術によって管理されています。
以前は「仮想通貨」と呼ばれることが一般的でしたが、法改正により現在は「暗号資産」が正式名称とされています。代表的な暗号資産には、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などがあります。
ブロックチェーン
「ブロックチェーン」は、暗号資産の取引データを管理するための革新的な技術です。取引データを「ブロック」として記録し、そのブロックを時間の順に「鎖(チェーン)」のように繋ぎ合わせて保管します。
この技術の特徴は、データがネットワーク上の多くのコンピューターに分散して記録され、一度記録されたデータを改ざんすることが極めて難しい点にあります。これにより、透明性と信頼性の高い取引が可能となっています。
秘密鍵と公開鍵
暗号資産の取引において、個人の所有権を示すために使用されるペアの鍵です。
- 秘密鍵: あなただけが知っている、いわば「暗号資産の銀行口座にアクセスするための印鑑やパスワード」のようなものです。秘密鍵を他人に知られると、あなたの暗号資産が不正に送金されてしまう可能性があります。厳重な管理が必要です。
- 公開鍵: 秘密鍵から生成される、いわば「暗号資産を受け取るための銀行口座番号」のようなものです。この鍵を相手に伝えることで、暗号資産を受け取ることができます。公開されても問題ありませんが、公開鍵から個人を特定されるリスクはゼロではありません。
ウォレット(Wallet)
「ウォレット」は、暗号資産を保管するためのソフトウェアやハードウェアのことです。厳密には暗号資産そのものがウォレットに保管されるのではなく、暗号資産を管理するための「秘密鍵」がウォレットに保管されます。
ウォレットには、インターネットに接続されている「ホットウォレット」と、インターネットから切り離された「コールドウォレット」など、いくつかの種類があります。それぞれにメリット・デメリットやセキュリティレベルの違いがあります。
取引・市場に関する用語
次に、暗号資産を実際に購入したり売却したりする際に使われる用語を見ていきましょう。
販売所と取引所
暗号資産を購入・売却できる場所には、主に「販売所」と「取引所」の2種類があります。
- 販売所: 暗号資産交換業者(事業会社)から直接、暗号資産を購入したり売却したりする形式です。提示された価格で簡単に取引できますが、多くの場合、後述するスプレッドが含まれており、取引所よりも実質的なコストが高くなる傾向があります。
- 取引所: 暗号資産を「買いたい人」と「売りたい人」の間で直接取引が成立する形式です。利用者は「板(いた)」と呼ばれる画面に希望価格と数量を注文として出し、条件が合えば取引が成立します。市場価格に近い価格で取引できる可能性が高いですが、取引が成立しない場合もあります。
初心者のうちは、手軽な販売所から始める方もいらっしゃいますが、手数料やスプレッドの違いを理解しておくことが大切です。
価格変動リスク、ボラティリティ
暗号資産の価格は、需要と供給のバランス、ニュース、市場全体の動向など様々な要因によって大きく変動します。これを「価格変動リスク」と呼びます。
特に、短期間で価格が大きく変動しやすい性質を「ボラティリティが高い」と表現します。暗号資産は伝統的な金融資産に比べてボラティリティが高い傾向にあるため、価値が急に上がったり、反対に大きく下がったりする可能性があります。
板取引(オーダーブック)
「板取引」は、取引所の形式で行われる取引方法です。「板」または「オーダーブック」と呼ばれる画面には、「この価格で買いたい人」と「この価格で売りたい人」の注文状況が一覧表示されています。
あなたは、この板を見て、自分の希望する価格で買い注文や売り注文を出すことができます。注文が板に並び、条件が一致する注文があれば取引が成立します。
スプレッド
「スプレッド」とは、暗号資産の「買値(購入する際の価格)」と「売値(売却する際の価格)」の差のことです。販売所形式での取引や、取引所でも流動性が低い銘柄で発生します。
この買値と売値の差額は、実質的な取引コストとなります。例えば、買値が100万円で売値が99.8万円の場合、スプレッドは2,000円となります。購入後すぐに売却しようとすると、このスプレッド分の損失が発生することになります。
手数料
暗号資産取引においては、様々な手数料が発生する場合があります。主なものに、取引を行うごとに発生する「取引手数料」、日本円を入金・出金する際に発生する「入出金手数料」、暗号資産を他のウォレットなどに送金する際に発生する「送金手数料」などがあります。
これらの手数料は、取引所や銘柄によって異なります。コストを抑えるためには、利用を検討している取引所の手数料体系を事前に確認しておくことが重要です。
セキュリティ・リスクに関する用語
安全に取引を行う上で、セキュリティやリスク管理に関する用語の理解は不可欠です。
二段階認証
「二段階認証」とは、取引所のアカウントなどにログインする際に、通常のIDとパスワード入力に加えて、もう一つの認証要素を組み合わせるセキュリティ対策です。
例えば、スマートフォンの認証アプリが表示するワンタイムパスワードや、登録した電話番号に送られてくるSMS認証コードなどを追加で入力します。これにより、仮にパスワードが漏洩しても、第三者による不正ログインを防ぐ確率を大幅に高めることができます。暗号資産取引所の口座開設後は、必ず設定するようにしましょう。
ハッキング
「ハッキング」とは、コンピューターシステムやネットワークに不正に侵入し、データを盗み出したり、システムを破壊したりする行為全般を指します。
暗号資産取引においては、取引所や個人のウォレットがハッキングの標的となる可能性があります。取引所の強固なセキュリティ対策はもちろんのこと、私たち利用者自身もパスワード管理や二段階認証設定などを徹底し、自衛することが重要です。
フィッシング詐欺
「フィッシング詐欺」とは、有名企業やサービスになりすましたメールやウェブサイトを使い、ID、パスワード、クレジットカード情報、暗号資産の秘密鍵などの個人情報を不正に入手しようとする詐欺行為です。
例えば、取引所からのメールを装って偽サイトに誘導し、ログイン情報を入力させようとする手口があります。不審なメールやSMSに記載されたリンクは安易にクリックせず、公式サイトのURLをブックマークしてそこからアクセスするなど、常に注意が必要です。
コールドストレージ/ホットストレージ
暗号資産交換業者が顧客から預かった暗号資産を保管する方法を指します。
- コールドストレージ(コールドウォレット): インターネットから物理的に切り離された状態で秘密鍵を保管する方法です。ハッキングのリスクを極めて低く抑えることができますが、アクセスに時間がかかるため、大量の暗号資産を保管するのに適しています。
- ホットストレージ(ホットウォレット): インターネットに接続された状態で秘密鍵を保管する方法です。取引などを行う際に素早くアクセスできますが、ハッキングのリスクはコールドストレージに比べて高まります。
多くの安全性の高い取引所では、顧客から預かった暗号資産の大部分をコールドストレージで保管し、取引に必要な分だけをホットストレージに置くといった対策をとっています。
分別管理/信託保全
暗号資産交換業者が顧客から預かった資産をどのように管理しているかに関する用語です。
- 分別管理: 暗号資産交換業者自身の資産と、顧客から預かった資産(暗号資産および日本円)を区別して管理することです。これにより、万が一取引所が経営破綻した場合でも、顧客の資産が取引所の負債と混同されることを防ぎます。多くの国の規制で義務付けられています。
- 信託保全: 顧客から預かった日本円を、取引所が直接管理するのではなく、信託銀行などに信託して管理を委託することです。これにより、取引所の経営状況に関わらず、顧客の日本円資産が保全されます。国内の多くの取引所が採用している重要な安全対策の一つです。
まとめ:用語理解が安心・安全な取引への道を開く
この記事では、暗号資産取引を始めるにあたって特に重要となる基本的な用語を解説しました。
- 暗号資産やブロックチェーン: 取引の対象と技術基盤
- ウォレットや秘密鍵/公開鍵: 資産の保管と管理の仕組み
- 販売所/取引所、スプレッド、手数料: 取引方法とコスト
- 価格変動リスク: 理解しておくべき市場の性質
- 二段階認証、ハッキング、フィッシング: 自分でできるセキュリティ対策
- コールドストレージ、分別管理、信託保全: 取引所の安全対策
これらの用語の意味を理解することは、暗号資産取引のリスクを正しく認識し、安全な取引所を選び、自身の資産を適切に管理するための基礎となります。
最初からすべての用語を完璧に覚える必要はありません。取引を進める中で分からない言葉が出てきた際に、この記事を辞書のように活用していただければ幸いです。
用語の理解を深めることは、暗号資産取引を安心かつ安全に進めるための確実な一歩です。知識という土台をしっかりと築き、慎重に取引の世界へ進んでいきましょう。