あんしん暗号資産ガイド

【安心ガイド】初心者が知っておくべきレバレッジ取引のリスク|なぜ避けるべきか

Tags: 暗号資産, 初心者, レバレッジ, リスク, 安全, 取引

暗号資産の「レバレッジ取引」とは?初心者が知っておくべき注意点

暗号資産取引に関心を持つ中で、「レバレッジ取引」という言葉を耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。少ない資金で大きな金額の取引ができると聞き、大きな利益に繋がる可能性を感じる一方で、その仕組みやリスクについて、不安を感じていらっしゃる初心者の方も少なくないでしょう。

このレバレッジ取引は、確かに大きな利益を狙える可能性がありますが、同時に非常に高いリスクを伴います。特に暗号資産取引を始めたばかりの初心者にとっては、そのリスクを十分に理解せずに手を出すことは、大切な資金を大きく失う可能性を高めてしまいます。

この記事では、暗号資産のレバレッジ取引の仕組みを分かりやすく解説し、なぜ初心者が特に注意し、可能であれば避けるべきなのか、その理由と具体的なリスクについて詳しくご説明します。「あんしん暗号資産ガイド」として、皆様が安全に、そして安心感を持って暗号資産取引の第一歩を踏み出すための情報を提供いたします。

レバレッジ取引の仕組みとは?

まず、レバレッジ取引がどのようなものか、その基本的な仕組みをご説明します。

少ない資金で大きな金額を取引

レバレッジ取引とは、預け入れた「証拠金」と呼ばれる担保をもとに、その証拠金の額よりもはるかに大きな金額の取引ができる仕組みです。例えば、レバレッジが2倍であれば、10万円の証拠金で最大20万円分の取引が可能です。レバレッジ倍率は取引所や銘柄によって異なりますが、高いレバレッジを設定できる場合もあります。

これは、取引所から資金を借りる、または取引相手と証拠金をもとに差金決済を行うといった方法で成り立っています。現物の暗号資産を購入・保有するのではなく、価格変動から生じる差額によって利益や損失が発生する取引です。

「買い」だけでなく「売り」からも始められる

レバレッジ取引では、価格が上昇すると予測すれば「買い」から、価格が下落すると予測すれば「売り」から取引を始めることができます。これは「信用取引」や「FX(外国為替証拠金取引)」など他の金融商品で行われる取引と似た特徴です。

なぜレバレッジ取引は初心者にハイリスクなのか?

レバレッジ取引は、前述の「少ない資金で大きな取引ができる」という特徴があるがゆえに、大きな利益が期待できる反面、非常に高いリスクを伴います。特に初心者にとって、そのリスクは計り知れないものとなる可能性があります。具体的なリスクを見ていきましょう。

リスク1:価格変動リスクが増幅される

暗号資産は、現物取引でも価格変動が大きいことで知られています。レバレッジ取引では、この価格変動による損益が、かけたレバレッジ倍率に応じて増幅されます。

例えば、レバレッジ2倍で10万円分の取引(証拠金5万円)をしたとします。価格が10%上昇すれば、10万円の10%、つまり1万円の利益が得られます。これは証拠金5万円に対して20%の利益率です。しかし、価格が10%下落した場合、1万円の損失が発生します。これは証拠金5万円に対して20%の損失率となり、資金が大きく減ってしまうことになります。

価格がわずかに不利な方向に動いただけで、証拠金の大部分を失う可能性があるのです。

リスク2:追証(追加保証金)が発生する可能性

レバレッジ取引では、損失が拡大し、預けている証拠金が取引を維持するために必要な水準(維持率)を下回ると、取引所から「追証(追加保証金)」の入金を求められることがあります。これは、損失がそれ以上拡大しないように、証拠金を追加して維持率を回復させるための措置です。

もし追証を期限までに入金できない場合、強制的に決済されてしまう(後述の強制ロスカット)だけでなく、預けた証拠金以上の損失が発生し、借金をしてしまう可能性もゼロではありません。

リスク3:強制ロスカットによる損失確定

多くの取引所では、証拠金維持率が一定水準を下回ると、それ以上の損失拡大を防ぐために、保有しているポジション(取引中の状態)が強制的に決済される「強制ロスカット」という仕組みがあります。

これは投資家を大きな損失から守るための仕組みではありますが、強制的に損失が確定してしまうことを意味します。相場が急変した際には、ロスカットが執行される価格よりも不利な価格で決済されてしまい、預けた証拠金以上の損失(追証)が発生する可能性もあります。

リスク4:手数料やコスト

レバレッジ取引には、取引手数料以外にも、ポジションを保有している間にかかる「建玉管理料」や「ファンディングレート(資金調達率)」といった独特のコストが発生する場合があります。これらのコストは、特に長期にわたってポジションを保有する場合に累積し、利益を圧迫したり、損失を拡大させたりする要因となります。初心者がこれらのコスト構造を正確に理解し管理するのは容易ではありません。

リスク5:仕組みが複雑で理解が難しい

現物の暗号資産を売買する取引と比較して、レバレッジ取引は証拠金維持率、ロスカット、追証、資金調達率など、理解すべき仕組みや用語が複雑です。これらの仕組みを十分に理解しないまま取引を始めると、予期せぬ損失やトラブルに繋がる可能性が高まります。

初心者はまず現物取引から始めるのがおすすめ

レバレッジ取引は、これらの複合的なリスクから、暗号資産取引の経験が浅い初心者の方には非常におすすめできません。まずは、自己資金の範囲内で暗号資産を売買・保有する「現物取引」から始めることを強く推奨いたします。

現物取引であれば、投資した資金以上に損失が発生することはありません。最悪の場合でも、投資した資金がゼロになるだけです。レバレッジ取引のように、預けた証拠金以上の損失が発生し、追証や借金に繋がるリスクはありません。

安全に暗号資産取引を始めるには

レバレッジ取引を避け、安全に暗号資産取引を始めるためには、以下の点を心がけてください。

  1. 信頼できる取引所を選ぶ: 金融庁に登録されている国内の暗号資産交換業者の中から、セキュリティ体制がしっかりしており、サポート体制も充実している取引所を選びましょう。
  2. 少額から始める: 最初は、失っても生活に影響が出ない範囲の少額から始めて、実際の取引に慣れることが大切です。
  3. 現物取引から始める: まずはレバレッジ取引ではなく、自己資金の範囲で行う現物取引から始めましょう。
  4. リスク管理を徹底する: 価格変動リスク、セキュリティリスク、詐欺リスクなど、暗号資産取引に伴う様々なリスクを理解し、適切な対策を講じましょう。
  5. 正しい情報を得る: 不確かな情報に惑わされず、信頼できる情報源から正確な情報を得るように努めましょう。

まとめ:リスクを理解し、安心安全な取引を

レバレッジ取引は、大きな利益を狙える可能性がある一方で、価格変動リスクの増幅、追証、強制ロスカットなど、初心者にとっては非常に高いリスクを伴う取引手法です。

「あんしん暗号資産ガイド」では、暗号資産取引を始める皆様に、まずそのリスクを正しく理解していただきたいと考えております。大きな利益を期待する前に、大切な資金を守るための知識を身につけることが何よりも重要です。

初心者の皆様には、まずはリスクを抑えられる現物取引から始め、少しずつ経験を積んでいくことを強く推奨いたします。この情報が、皆様が安全に、そして安心感を持って暗号資産取引の世界に踏み出すための一助となれば幸いです。