【安心ガイド】初めての暗号資産取引!「成行」「指値」注文のリスクと安全な選び方
暗号資産取引に興味を持ち、いざ始めてみようと思ったとき、取引画面で目にする「成行(なりゆき)」「指値(さしね)」といった言葉に戸惑うことがあるかもしれません。これらは暗号資産を「買う」または「売る」ための、最も基本的な注文方法です。
注文方法を正しく理解することは、意図しない価格で取引してしまうといったリスクを避け、ご自身の計画通りに安心して取引を進めるために非常に重要です。
この記事では、暗号資産取引初心者の方に向けて、成行注文と指値注文の仕組み、それぞれの特徴や知っておくべきリスク、そして安全な使い分け方について分かりやすく解説いたします。
暗号資産取引の「注文」とは?
まず、「注文」とは、暗号資産を「買いたい」「売りたい」という意思表示を、取引システムを通じて行うことです。この注文が他のユーザーの注文と「約定(やくじょう)」することで、実際の売買が成立します。
注文方法にはいくつか種類がありますが、初心者がまず知っておくべきなのが「成行注文」と「指値注文」です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
成行注文とは?仕組みとメリット・デメリット
成行注文は、「価格を指定せずに、今すぐ取引を成立させたい」という場合に使う注文方法です。
仕組み:
- 「〇〇(銘柄名)を△△円分、成行で買う」または「〇〇(銘柄名)を◇◇数量、成行で売る」というように、数量や金額だけを指定して注文を出します。
- その時点で取引システムに出ている、最も有利な価格で自動的に約定します。例えば買い注文であれば、最も安い売り注文に対して約定します。
メリット:
- すぐに取引が成立する: 価格が多少不利になっても、とにかく素早く取引を完了させたい場合に有効です。価格が急騰・急落しているような局面で、すぐに反応したい場合に利用されることがあります。
デメリット・リスク:
- 意図しない価格で約定する可能性: これが成行注文の最も大きなリスクです。特に取引量が少ない(流動性が低い)銘柄や、価格が急激に変動しているときには、注文を出した瞬間の価格と、実際に約定した価格に大きな差(スリッページといいます)が生じることがあります。例えば、安く買おうと思ったのに、想定よりかなり高い価格で約定してしまうといったケースです。
- 取引所の板(気配値)を確認する必要がある: どの価格帯にどれくらいの注文が出ているか(板情報)を確認せずに成行注文を出すと、自分の大量の買い注文が、高い価格の売り注文を次々と約定させてしまい、平均取得価格が大きく上がってしまうこともあります。
初心者が成行注文を使う上での注意点:
成行注文は手軽ですが、価格のコントロールができません。初心者のうちは、以下の点に注意して慎重に使いましょう。
- まずは少額から試す: 大きな金額で成行注文を出す前に、少額でどのように約定するかを確認してみましょう。
- 取引量の多い主要な銘柄を選ぶ: ビットコインやイーサリアムなど、取引量が非常に多い銘柄であれば、スリッページのリスクは比較的小さくなります。
- 価格が急激に変動している時は特に注意: 落ち着いた相場状況の時に利用することをおすすめします。
指値注文とは?仕組みとメリット・デメリット
指値注文は、「〇〇(銘柄名)を△△円になったら買いたい」「◇◇円になったら売りたい」というように、希望する価格を指定して出す注文です。
仕組み:
- 買いたい場合は「現在の価格より安い価格」、売りたい場合は「現在の価格より高い価格」を指定して注文を出します。
- 指定した価格、またはそれよりも有利な価格になった場合にのみ注文が成立(約定)します。
メリット:
- 希望通りの価格で取引できる: これが指値注文の最大の利点です。例えば「この価格以下なら買っても良い」「この価格以上で売りたい」といった、ご自身の計画に基づいた取引が可能です。
- 価格変動リスクをある程度コントロールできる: 意図しない高値掴みや安値売りを防ぐことができます。
デメリット・リスク:
- 指定価格にならなければ約定しない: 相場が指定した価格まで動かなかった場合、いつまで経っても注文が成立しません。
- 機会損失の可能性: 例えば、買いたい価格を指定したけれど、相場がそのまま上昇してしまい、買うチャンスを逃してしまうことがあります。
初心者が指値注文を使う上での注意点:
指値注文は計画的な取引に適していますが、約定しない可能性もあります。
- 少し広めに指すことも検討: 必ず約定させたいわけではないけれど、少しでも有利な価格で、という場合は、あまりにも現在の価格から離れすぎず、少し広めに指値を入れることも考えられます。
- 注文の有効期限を確認する: 設定した指値注文がいつまで有効なのか(今日中、今週中、キャンセルするまでなど)、取引所の設定を確認しましょう。
- 急変動時は約定しない可能性も理解する: 急激な価格変動が起きても、指定した価格をかすめずに通り過ぎてしまうこともあります。
初心者のための安全な注文方法の使い分け
暗号資産取引の初心者は、まず指値注文を中心に使うことから始めるのがおすすめです。
- 計画的な取引: 「いくらになったら買うか」「いくらになったら売るか」を事前に考えて指値注文を入れておくことで、感情的な取引を防ぎやすくなります。
- リスクの限定: 意図しない高値・安値での約定を防ぎ、許容できる範囲の価格で取引を行うことができます。
ただし、どうしても「今すぐに、少額だけ」買いたい場合や、取引量が非常に多く価格変動が比較的穏やかな銘柄であれば、成行注文も選択肢に入ります。その際も、必ず少額で、取引画面の板情報などを少し見てから行う習慣をつけましょう。
慣れてきたら、デモトレード機能がある取引所であれば、そこで練習してみるのも良い方法です。実際に資金を使わずに、様々な注文方法を試すことができます。
まとめ
暗号資産取引における成行注文と指値注文は、それぞれ「スピード重視」と「価格重視」という特徴を持っています。
初心者のうちは、意図しない価格での約定リスクを避けるため、まずは指値注文から慣れていくことをおすすめします。ご自身の資金やリスク許容度、そしてその時の相場状況に合わせて、これらの注文方法を賢く使い分けることが、安心して暗号資産取引を続けるための第一歩となります。
焦らず、まずは少額から、そして今回解説した注文方法の基本をしっかりと理解した上で、安全に取引を始めていきましょう。