【安心】暗号資産取引をしばらく休みたい時、放置は危険?安全な対応策
はじめに
暗号資産取引を始めてみたものの、仕事が忙しくなったり、価格の大きな変動を見て不安になったりといった理由で、「少しの間、取引から離れたい」「しばらく様子を見たい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、暗号資産取引アカウントを「放置する」という状態は、いくつかのリスクを伴う可能性があります。このガイドでは、取引を一時的に休止したいと考えた際に知っておくべきリスクと、資産を安全に保つための具体的な対応策についてご説明します。
暗号資産取引アカウントを「放置」することのリスク
取引をアクティブに行わないからといって、アカウントから完全に目を離してしまうと、以下のようなリスクにさらされる可能性があります。
- セキュリティリスク(不正ログイン・ハッキング): アカウント情報を狙った悪意のある攻撃者は常に存在します。パスワードの使い回しや、フィッシング詐欺に遭った場合など、しばらくアカウントにログインしていない間に、不正にアクセスされて資産を盗まれてしまう可能性があります。取引を休んでいる間も、アカウントのセキュリティ状態を把握しておくことは重要です。
- 取引所からの重要連絡の見落とし: 利用している取引所から、セキュリティに関するお知らせ、サービス内容の変更、システムメンテナンス、規約改定など、重要な連絡が届くことがあります。これらの情報を見落とすと、サービスが利用できなくなったり、予期せぬトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。
- 市場変動による資産価値の変動: 暗号資産市場は24時間365日動いています。取引を休んでいる間にも、価格は大きく変動する可能性があります。価格が大きく下落した場合にその状況を把握できていない、あるいは急騰した場合に売却のチャンスを逃すなど、意図しない損益が発生する可能性があります。
- 法改正や税制変更に関する情報: 暗号資産に関する法規制や税金ルールは変更されることがあります。こうした変更に関する取引所からの連絡や、関連するニュースを把握しておかないと、将来的に税務上の問題などに直面する可能性もゼロではありません。
- ログイン情報の失念: 長期間アカウントにログインしないと、パスワードや二段階認証の設定方法などを忘れてしまうリスクがあります。いざ取引を再開したいと思った時に、ログインに手間取ったり、最悪の場合はアカウント復旧に時間がかかったり、困難になったりする可能性もあります。
取引を休止する際の安全な対応策
取引を一時的に休みたいと思ったからといって、すぐに口座を解約する必要はありません。以下の安全な対応策を講じることで、リスクを最小限に抑えながら休止することができます。
1. 現在の資産状況を確認する
取引を休止する前に、現在保有している暗号資産の種類と数量、およびその評価額を確認しましょう。もし含み損が出ている状態で、回復を期待して長期保有するつもりであればそのままでも良いかもしれませんが、一度日本円に戻しておきたいと考えるなら、売却手続きを検討しても良いでしょう。現在の状況を正確に把握することが、今後の対応を判断する上での第一歩となります。
2. 不必要な取引設定は停止する
もし自動積立や定期購入などの設定を利用している場合は、意図しない取引が続かないように、必要に応じてこれらの設定を停止しておきましょう。また、過去の注文履歴を確認し、まだ有効なままになっている注文(指値注文など)があれば、必要に応じてキャンセルしておきます。
3. 取引所からの連絡を確認できるようにしておく
取引所の登録メールアドレス宛に届くメールは、定期的にチェックするようにしましょう。重要な通知やセキュリティ情報が含まれている場合があります。必要であれば、取引所からのメールが迷惑メールフォルダに入らないよう、設定を見直しておくと安心です。取引所の公式サイトやアプリのお知らせ欄なども、時々確認する習慣をつけると良いでしょう。
4. セキュリティ設定は維持・強化する
取引を休止している間も、アカウントのセキュリティは最も重要です。 * 二段階認証は絶対に解除しないでください。 これがアカウント保護の最も基本的な砦となります。 * 設定しているパスワードが他のサービスで使い回されていないか確認し、もしそうであれば、暗号資産取引専用の複雑でユニークなパスワードに変更することを強く推奨します。 * パスワードを安全に管理するために、パスワード管理ツールなどの利用も検討できます。
5. フィッシング詐欺等への警戒は続ける
取引を休んでいても、あなたのメールアドレスやSNSアカウント宛に、取引所を装った不審な連絡が届く可能性があります。こうしたフィッシング詐欺や、その他の詐欺的な勧誘に対しては、引き続き警戒が必要です。不審なリンクはクリックしない、公式サイト以外でログイン情報を入力しない、といった基本的な対策を徹底してください。
6. 信頼できる情報源のみを確認する
暗号資産に関するニュースや市場価格の情報を得る際には、信頼できる取引所の公式発表や、公的機関、大手メディアなどの情報源を利用するようにしましょう。SNSなどで流れてくる真偽不明の情報に惑わされて、焦って取引を再開したり、誤った行動をとったりしないように注意が必要です。
7. 資産の安全な保管について検討する(上級者向け)
取引所に資産を預けておくのは便利ですが、取引所が破綻したり、大規模なハッキング被害に遭ったりするリスクもゼロではありません(ただし、日本の登録済みの取引所は顧客資産の分別管理が義務付けられています)。長期間、多額の資産を保有しておく場合は、ご自身で秘密鍵を管理するハードウェアウォレットなどに資産を移すという方法もあります。ただし、ウォレット管理は専門的な知識が必要で、秘密鍵を紛失すると資産を取り出せなくなるという大きなリスクも伴います。初心者のうちは無理せず、まずは信頼できる取引所での安全なアカウント管理に注力するのが現実的でしょう。
再び取引を始める時の注意点
しばらく取引から離れていて、再び始めようと思った時は、以下の点を確認してから行うと安心です。
- ログイン情報の確認: 正しくログインできるか、二段階認証なども含めて手順を確認します。
- アカウント状況の確認: 保有資産が正しく表示されているか、不審な履歴がないかなどを確認します。
- 市場状況の確認: 取引を休んでいる間に市場環境が大きく変わっている可能性があるので、現在の価格動向や主要なニュースを確認します。
- 少額から慣らす: いきなり大きな金額で取引を再開するのではなく、まずは少額から始めて取引ツールの使い方や市場の雰囲気に慣れていくことをお勧めします。
まとめ
暗号資産取引を一時的に休止することは、決して悪いことではありません。大切なのは、取引を休んでいる間も、ご自身の資産とアカウントを安全に管理するための基本的な対策を怠らないことです。
この記事でご紹介した対策を実践することで、将来再び取引を始めたいと思った時に、安心してスムーズに戻ることができるでしょう。「あんしん暗号資産ガイド」は、皆様が安全に暗号資産と向き合えるよう、今後も役立つ情報を提供してまいります。